先月の「予想相続のススメ」の中に、2003年1月に東京商工会議所の調査
によると「今後9年以内に事業承継を予定している」と回答した会員企業が、
全体の76.2%を占めた、と記述しました。
事業承継するということは、代表者を変更することだけではありません。事業
承継を「会社の相続」と考えると「自社株式」を承継しないことには、実質オー
ナーは変更しません。
相続対策においても「自社株式」を頭の中から忘れがちで、しかも意外と過小
評価している経営者の方も多いようです。「自社株式=出資・資本金額」と誤
解釈している方も見受けられます。
「資本金1000万円だから評価は1000万円でしょ」ということはなく、長年の
利益の蓄積で、評価額は増えている会社が多いと思われます。そこで「うちの
会社の評価はいくらだろうか?」という「自社株評価」をオススメいたします。
「自社株評価」の方法にも何通りもあるのですが、ここでは万が一オーナー
が亡くなった場合の「相続財産としての自社株評価額」をとりあげます。相続
する場合だけではなく、子供に自社株式を贈与・譲渡する場合も、同じ計算
方式を用います。
同族会社のオーナーは、「類似業種比準価額方式」と「純資産価額方式」で評
価額をはじきだします。会社規模・取引金額などに応じて両者を併用(ミックス)
したりします。
簡単に言うと「類似業種方式」は類似する業種の上場株価に、自社の「配当・
利益・純資産」をリンクさせて計算します。「純資産方式」は土地等の含み益・
含み損を考慮した時価純資産(資産−負債)をもとに計算します。
「自社株式」の難しい点が「上場株価や会社業績によって変動する」ので評価
時期によって評価額が増減することです。そのため、後継者などに分散する
タイミングの見極めが難しくなります。そこで、まずは「株価引き下げ対策」が
必要になります。
もうひとつがオーナーの心情として「経営から退いても、会社の株主の立場は
譲れない」という気持ちも強く、なかなか分散が進まない点です。そこで生前
贈与や譲渡による「株式分散対策」も必要になりま。
さらに万が一の相続の場合、相続財産が「自社株式」がほとんどの場合、「納
税資金はどうするのか?」という「納税資金対策」も必要になります。「会社に
自社株を買い取らせるか」とか、です。
いずれにしても相続対策の中でも、「自社株式対策」はある程度の時間を要
するため、まずは「自社株式評価」からしてみませんか?過去3期分の申告
書と不動産・保険証券等の資産内容がわかれば、概算計算はできますので、
税理士にひと声おかけください。
次回は「会社の納税対策・決算対策・資金繰り対策」に不可欠な「中間決算・
四半期決算のススメ」を予定しております。
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