今月は昨年の税制改正で一気に「他人事でなくなったしまった方が増えた」
消費税に関してです。昨今では消費税増税もささやかれてるので、消費税
の初歩の初歩を考えてみましょう。
そもそも消費税という税金の計算は、簡単なようで簡単でないのです。
「売上の消費税から、仕入や経費にかかった消費税を引くだけでしょ」と
言われることがよくありますが、それだけだと「消費税法」という税理士試験
科目が成立しません。
消費税は他の税金(法人税・所得税・相続税)と、ちょっと性格が異なる部分
があるのです。それは「事前に有利な方法を選択する」ということ、と「選んだ
からには2年間は続けてね」ということです。そんなわけで「消費税を考える」
だけでなく「消費税対策」をオススメします。
ここまで読むと、いくつかの疑問が生じると思います。ひとつずつ整理して
いきましょう。整理しきれなかったら続編にしてしまいます。
疑問(1)「どこが変わったのですか?」
一番大きい改正は、これまでは課税売上が年3000万円以下の事業者は、
消費税の納税が免除されていました。免税事業者といいます。このライン
が一気に年1000万以下に引き下げられたのです。
疑問(2)「住宅の賃貸収入だけでも納税者になりますか?」
あくまで課税売上が年1000万あるかどうかが基準なので、もともと非課税
な「住宅の貸付」や「社会保険診療報酬」などは、基準の売上に含めません。
なので「住宅の賃貸収入だけ」であれば、今までどおり免税事業者です。
疑問(3)「いつから影響があるのですか?」
平成16年4月1日以後の開始事業年度からです。わかりやすく言うと法人
は3月決算の会社であれば、今期からもうすでに対象です。個人事業者
は平成17年1月1日から対象です。消費税は2年前の年売上を基準に
判断するので、2年前が年1000万超だと「消費税納税者」なのです。
疑問(4)「設立・開業したばかりなので、2年前がないのですが?」
個人事業や資本金1000万未満の新設法人であれば、最初の2年間は
免税です。ただし巨額の設備投資をするケースは、あえて課税事業者を
選ぶという選択肢もあります。これは後述します。
疑問(5)「売上の消費税−仕入や経費の消費税=納税 じゃないの?」
疑問(6)「有利な方法を好きに選んでいいの?」
疑問(7)「選んだ方法を毎年変えられないの?」 は続編(1月予定)にします。
そうはいっても、「どうしたらよいかわからない」という場合は、私ども税理士が
判定して、消費税の納税負担が少しでも軽くなる案を、ご提案させていただき
ますので、ひと声おかけください。
次回は12月になると経理・総務担当、税理士事務所が一気に忙しくなる原因
の年末調整についてです。「年末調整とはなんぞや?」を予定しております。
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